2025年5月に登場した「Okinos Cypress 3 Wood」は、ウォルナット材を前面の両サイドに使用した高級感ある外観と、優れた冷却性能・静音性・拡張性を兼ね備えたMicro-ATX/ITX対応ミドルタワーケースです。
この記事では、Cypress 3 Woodの特徴やスペック、実際の使用感をレビュー形式で詳しく解説します。
Cypress 3 Woodの主な特徴
木目調デザインでインテリアに馴染む
Cypress 3 Wood最大の魅力は、何と言ってもフロントパネルに本物のウォルナット材を使用している点です。これまでの無機質なPCケースや最近流行りのLEDファンでキラキラ光らせるPCケースとは一線を画し、ナチュラルで渋みのある外観はリビングや書斎にも自然に溶け込みます。
静音性と冷却性能の両立
このケースには4基のファン(前面に3基、背面に1基)が標準搭載されており、さらに上部に2基取り付けできるため、最大6基のファンを搭載可能となっています。(公式サイト上では最大6基となっていますが、説明書を読むと下部にも2基搭載できるため、最大8基となるようです。)標準搭載のファンはいずれも120mmの3ピンで非PWMタイプではあるものの、1000RPMと低速で静音性に優れています。
また、前面・上面はメッシュ構造となっており、エアフローも良好で静かで冷えるPCケースを探している人にぴったりです。
拡張性と実用性も◎
対応マザーボードはMicro-ATX / ITXで、拡張スロットは4つ、グラフィックボードなどの拡張カードの対応サイズは最大320mm、CPUクーラーは高さ最大164mmとなっています。
コンパクトながらも高性能パーツに対応しており、ゲーミングPCやクリエイターPCとしても十分な性能を備えています。
Cypress 3 Woodはこんな人におすすめ
- おしゃれなPCケースを探している
- 木目調やナチュラル系のインテリアに合うケースが欲しい
- 静音性と冷却性能を両立したい
- Micro-ATX構成で高性能なPCを組みたい
Okinos(オキノス)社とは
ここまでざっとCypress 3 Woodの概要をご紹介しましたが、このケースのメーカーであるOkinos(オキノス)社って、皆さんはご存じですか?私は初めて聞くメーカー名でした。そこでどんな会社なのかちょっとネットで調べてみました。
Okinosは2024年1月にアメリカで立ち上げられたPCパーツのブランドらしく、アメリカでは結構高い評価を得ているのだそうです。そして2025年5月15日に日本の株式会社リンクスインターナショナルがOkinosと国内販売代理店契約を締結し、国内参入となったようです。
どうりで聞いたことがないメーカー(ブランド?)な訳です。メーカー自体新しいうえに、日本に参入したのがつい最近なんですもんね。
Cypress 3 Woodを買ってみた
10年以上前に自作したメインPCの部品を流用して作ったサブPCがあるのですが、これが如何せん古いのでWindows11に対応していません。
そのためサブPCを新調しようと思い、Micro-ATXサイズのPCケースを価格.comで調べていて「渋くてカッコいい!」と目に留まったのがこのPCケースでした。
しかしこのPCケース、記事執筆時点での価格.comの売れ筋ランキングでは38位と、そこそこ人気があるようなのですが、2025年 5月17日に発売されたばかりで、購入した2025年6月26日時点では価格.comにレビューもクチコミもありませんでした。いつもPCパーツを買うときはレビューなんかを見て注意点を把握したうえで購入するので、正直買おうかどうか結構迷いました。
そこでAmazonのレビューを見てみると、なんと星4.7(レビュー数86)と高評価ではありませんか。ただし英語のレビューばかりで、日本からのレビューはゼロ。でも英語のレビューを機械翻訳してみると、悪いことは全然書いていませんでした。強いて否定的なコメントを挙げるとすれば、標準搭載のファンが非PWMであることくらいだったと思います。
そんなわけで木目調のスピーカーを思わせるような渋い外観に惹かれて、思い切って買ってしまいました!お値段約7,000円なり!

付属品はこんな感じで、拡張スロットのカバーの予備?が2個ついていました。なぜこれがついていたのかあとで謎がとけます。

Cypress 3 Woodの仕様
特徴の箇所でも触れた内容と重複する部分もありますが、Cypress 3 Woodの仕様についてさらに詳しくご紹介します。
デザインと素材
このケースはスチール製で、サイドパネルは強化ガラスになっており、フロントパネルには本物のウォルナット材が使われています。このウォルナット材が渋くていい味を出しています。
サイズは372 mm×210 mm×402mm(奥行×幅×高さ)で、重さは約4.3kgです。
フロントポートはサイドパネルの下部にあり、向かって左からUSB Type-C(3.2 Gen 2)×1、USB 3.0×2、オーディオ入出力(ヘッドフォンとマイクのコンボ)、リセットボタン、電源ボタンとなっています。ちなみに電源ボタンはオンの時に青く光ります。

基本仕様
対応マザーボードはMicro-ATX / ITXで、拡張スロットは4つです。

グラフィックボードなどの拡張カードの対応サイズは最大320mmとなっていますが、これはフロントファンをフロントカバーの内部(初期位置)に設置した場合です。フロントファンをケース内部に設置した場合は最大285mmまでとなります。

CPUクーラーは高さ最大164mmまでとなっており、余程大型のものでなければ大半のCPUクーラーは収まりそうです。ラジエーターは公式では非対応となっていますが、Amazonのレビューではラジエーターをトップに取り付けた画像も投稿されていました。
ストレージベイ
ストレージベイは3.5インチシャドウベイと3.5/2.5インチ共用のシャドウベイがあります。取り付けには付属のHDDケージを使います。上段下段に分かれていて下段は3.5インチ専用で、上段が3.5インチと2.5インチの共用です。

これ以外にも2.5インチ専用シャドウベイがマザーボードの裏面に1つあります。取り付け方がちょっと特殊でストレージの側面片側(ケース上部方向)の2か所のネジだけで固定します。もう片側(ケース下部方向)にはツメがあり、ネジ穴にツメを差し込む形で固定します。

電源ユニット
対応する電源ユニットの長さは、HDDケージの取り付け有無とフロントファンの取り付け位置で変わってきます。以下の3パターンあります。
パターン1:フロントファンをケース内部に取り付けている場合でかつ、HDDケージを取り付けた場合は最大185mm(ケーブル含む)
パターン2:フロントファンをケース外側(フロントカバー内部)に取り付けている場合でかつ、HDDケージを前面側にずらして取り付けた場合は最大205mm(ケーブル含む)。
パターン3:HDDケージを取り外した場合はフロントファンの位置に関わらず最大330mm(ケーブル含む)。
自分は一般的な(?)長さ140mmのモジュラー式でない電源ユニットを使用しました。HDDはもとから使う予定はなかったので搭載しなかったんですが、パターン1だとそれでもかなりぎちぎちです。もうちょっとコードを束ねたりして整理すれば、HDD1台なら搭載できるかもしれません。

ケースファン
このケースには4基のファンが標準搭載されています。前面に3基、背面に1基付いており、いずれも120mmの3ピンで1000RPM(非PWM)のものです。この7000円台というこの価格で4つもファンがついているのはかなりお得じゃないでしょうか。
ちなみに搭載可能ファンは前面120mm×3または140mm×2、上部120mm×2または140mm×2、背面120mm×1となっています。
公式サイトでは上記の通り最大6基のファンが搭載可能となっていますが、ケース本体や説明書を見ると下部にもネジ穴があり120mmを2基取り付けられるようになっていました。

ちょっと気になった点
その1:拡張スロットのカバー
拡張スロットのカバーの開け方が、昔ながらの折って取るタイプでした。カバーは本体と分離しておらず、くっついているのでカバー部分を押して戻してを繰り返して折る必要があります。手を切らないように軍手をしてやることをお勧めします。


この記事の冒頭で付属品に拡張スロットのカバーが2つ付いていたと紹介しましたが、これが理由だったんですね。ここがちょっと気になった点ではあるのですが、価格を考えれば納得せざるを得ない点かもしれません。
その2:拡張スロットのネジ穴
拡張スロットのネジ穴なのですが、キレイに穴が開けられているのではなく、金属板を棒で突き破ったような状態になっていました。このせいなのか、1段目はしっかりネジを絞められましたが、2段目は固くて途中までしかネジをしめられませんでした。他が良いだけにここだけ目立ってしまって残念に思いました。

組み立て&完成
サブPCなのでコスパ重視で以下の製品を使いました。
M/B:PRIME A520M-E(ASUS)
CPU:Ryzen 5 5500 BOX(AMD)
メモリ:W4U3200CS-8G [DDR4 PC4-25600 8GB 2枚組](CFD)
電源:ATLAS 650 CGR BA-650(COUGAR)
AMDのCPUは学生時代に初めて組んだPCでデュロンを使って以来です。原点回帰!
以下は流用です。
SSD:製品名忘れました!500GB(Crucial)※元のサブPCより
グラボ:GeForce GTX 1660 Ti(玄人志向)※メインPCより一時的に借用
ケース裏面から配線できるようになっているので、内部はスッキリさせることができました。


ベンチマーク
試しにファイナルファンタジーXIVのベンチマークも動かしてみました。

室温27.5℃で実行し、各パーツの温度の最大値は以下の通りです。
CPU:71.0℃
GPU:69.6℃
SSD:48.0℃
CPUもGPUも60℃~80℃が適正温度らしいので、さほど高温にならずほっと一息。
まぁ古いグラボですし、あまり電力を使わない製品で発熱が少ないので、参考にはならないかもしれませんが…。
ちなみにケースファンはPWMではないので、温度によって速度は変わらずうるさくはなりません。電源ファンや部屋のエアコンのほうがうるさいくらいでした。
最後に
拡張スロット部分のネジ穴などで作りが荒い箇所はあるものの、配線しやすい設計になっており、組み立てに手こずることはありませんでした。
木目調のデザインもスピーカーを思わせるような渋みがあってインテリアにもマッチする感じで良いです。
また、1000RPMと比較的低回転数の4基のファンを標準搭載しており、上面と前面、それと下面の一部(電源下)がメッシュ構造になっているため、静音性と冷却性も問題ありません。
7,000円前後という価格帯を考えるとかなりコスパも良いと言えると思います。
Okinos…こいつぁ来るね!ってことで今後もこのメーカーの製品に注目していきたいです。
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